漫画村の運営者を特定したとのニュースが話題になっています。
なぜこんなにも話題になっているのでしょうか。
そもそも漫画村とは
漫画村とは、漫画を違法アップロードして誰でも無料で読めるようにしたサイトで、当然ながら著作権等の法律に反する違法サイトです。 *1
なぜ運営者の特定がニュースに
そんな違法行為をしているのであればすぐに運営者を逮捕すればいいじゃん、と思うかもしれないですが、そうはいきません。
まず、普通にネットのページを見ただけでは誰が運営しているかは特定できません。そこで、そのページを配信しているサーバーを管理している事業者に連絡し、サーバーを停止してもらうなり、サーバーの利用者の情報を開示してもらう必要があります。
近年では一般的に、ページを作成した人と、サーバーを所持している人は別の人です。サーバーを貸す専門の事業者がおり、ページ作成者はその事業者からサーバーを借りてページを配信します。
しかし、この情報開示は簡単ではありません。個人情報なので、裁判所などの命令がないと開示されません。さらに、このサーバーが海外にあった場合、日本の法律では戦えないこともあります。実際漫画村のサーバーはアメリカにありました。
どうやって情報開示をさせたのか
通常こういった著作権侵害の場合、著作権法は日本の法律ですので、日本で訴訟を起こし、情報の開示請求のような命令を出すのかと思いますが、海外に企業やサーバーがある場合、「うちは日本の企業じゃないんで」などといくらでも逃げられる可能性があります。
そこで、漫画村の件の場合は、アメリカで訴訟を起こし、アメリカの法に則った上でサーバー事業者に情報開示を要求。相手の会社が要求に応じたので運営者の特定に繋がりました。
これで必要な情報は揃ったので、あとは日本の法律で裁けばよいのです。アメリカで起こした訴訟を取り下げ、手に入れた情報をもとに日本で訴訟を起こすというわけです。
今回は運が良かった感はある
今回は非常に運が良かったかなという気はします。今回の事案がアメリカの法律にも引っかかっていたので、アメリカで訴訟を起こし運営者の情報を得られた点です。
例えば、アメリカ国内から漫画村にアクセスした場合にはブロックする のような仕組みを導入していた場合、アメリカ国内の法律だと著作権侵害に当たらないとみなされるかもしれません。
あるいは、サーバーが置かれている国が別の国で、その国には著作権法なんていう法律がない、といった場合も、その国での訴訟が難しくなるのでもしかしたら情報開示請求が難しかったかもしれません。
僕は法律家ではなく、インターネットでおきた犯罪行為についてどこの国で裁かれるのか、という問題は非常に難しい問題ですので、これらの方法で訴訟を逃れられるかどうかはわかりませんが、方法はいろいろあるはずです。今回の犯人は特定されましたが、もっと手のこんだことをすれば捕まえるのは難しいでしょう。
ということで、なんか開示請求が通ったことではしゃいでいる人を見かけましたが、今回は運が良かっただけじゃないかなーというのは無きにしもあらずで、このあたりの法整備や国際協力は進めていかなあかんなーという感想でした。